下痢の鍼灸治療

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痢疾

【基礎篇】

痢疾(下痢)は、痢病(大腸※カタル・渋り腹・腎虚)と泄瀉(胃カタル・筒下し・脾虚)に大別されます。

※カタルとは、感染症の結果生じる粘膜腫脹と、粘液と白血球からなる濃い滲出液を伴う病態のこと。カタルは通常、風邪、胸部疾患による咳に関連して認められるが、アデノイド、中耳、副鼻腔、扁桃、気管支、胃、大腸に出現することもある。カタル性滲出液は排出されることもあるが、狭窄とともに管腔を閉塞させたり、慢性化したりすることもある。(〈wikipedia〉より抜粋)

現代医学的には、
食中毒など感染を起こしたとき(分泌性下痢)、腸の水分吸収が不十分なとき(浸透圧性下痢)、暴飲暴食やストレスなどで腸が動き過ぎるとき(運動亢進性下痢)に起こります。(〈くすりと健康の情報局〉より抜粋。)

古くは、難経と霊枢にさらに細かく五泄に分類されています。

「五十七難曰.泄凡有幾.皆有名不.然.泄凡有五.其名不同.有胃泄.有脾泄.有大腸泄.有小腸泄.有大瘕泄.名曰後重.胃泄者.飮食不化.色黄.脾泄者.腹脹滿.泄注.食即嘔吐逆.大腸泄者.食已窘迫.大便色白.腸鳴切痛.小腸泄者.溲而便膿血.少腹痛.大瘕泄者.裏急後重.數至圊而不能便.莖中痛.此五泄之法也.」〈難経・五十七難〉

五十七難に曰く.
泄は凡て(すべて)幾ばく有るや? 皆な名有るや不きや(なきや)?
然り.
泄は凡て五つ有り、其の名は同じからず.
胃泄あり、脾泄あり、大腸泄あり、小腸泄あり、大瘕泄あり、名づけて後重と曰うなり.
胃泄は、飲食が化せず、色は黄なり.
脾泄は、腹が脹満し、泄注し、食べれば即ち嘔吐し逆す.
大腸泄は、食すれば已て(やがて)窘迫し、大便の色は白く、腸は鳴りて切痛す.
小腸泄は、溲して膿血を便し、小腹が痛む.
大瘕泄は、裏急、後重し、数々(しばしば)圊(セイ かわや)に至るも便すること能わず、茎中が痛む.
此れが五泄の法なり.

【臨床篇】

胃泄・脾泄は脾虚、大腸泄は肺虚・脾虚・腎虚、小腸泄は肺虚・腎虚・(一部肝虚もあるかな)、大瘕泄は腎虚になることが多いと感じています。
いずれの証であれ、合水穴を補います。
腸の病ですが胃経に邪が浮くことがしばしばあります。
胃経には胃府(足三里)・大腸府(上巨虚)・小腸府(下巨虚)の下合穴が揃っているのも深い意味があります。
急性の場合は実邪が、慢性の場合は虚性の邪になるかと思いますが、そうでない場合もあります。
実邪か虚性の邪かを脉状で弁別して、瀉法または補中の瀉法を施します。

奇経は、照海ー列缺・陥谷ー合谷・公孫ー内関を使うことが多いです。

標治法は、慢性・急性かかわらず左の曲池に知熱灸7~8壮。
食中りには裏内庭に知熱灸10壮あるいは透熱灸で熱さが来るまで多壮。
大腸がん・クローン病・潰瘍性大腸炎などで下血する場合はカネコ点に知熱灸3~5壮。

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by dentouijutu | 2017-08-24 20:39 | 鍼灸師・鍼灸学生のためのお部屋

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