蓄膿症の症例

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【患者】嫁の姉。
【主訴】急性副鼻腔炎による、
鼻づまり。
頭痛(眉稜骨痛)。←これだけで湿痰の存在を疑える重要な病症。
歯痛。...

味と臭いがわからない。
吐き気。
発熱(39度)。
食欲不振。
【現病歴】1週間前にかぜをひき、色んな症状が出てきたので医療機関を受診。レントゲンを撮ると上から下まで膿が溜まって真っ白になっていた。

【望神】目に力がない。
【腹診】心下部が堅い。臍下不仁。
【脉診】浮・数・実。
【証】割愛するが四診合参して腎虚証。
【適応側】右。

【本治法】右太谿と左足三里に補法。
【補助療法】左内関―右公孫と右陥谷―右合谷に金銀粒を貼付してその上から知熱灸で5―3で奇経灸。
【標治法】下風地に瀉法。
【経過】
鼻づまり・頭痛軽減。
歯痛消失。
味と臭いがわかるようになる。
お腹が空いて食べれた。
吐き気消失。
解熱。

翌日も治療。
【導入】左田頭点に神氣精打鍼。
【証】腎虚心実証。
【本治法】右太谿に補法。左の郄門と懸鍾を瀉法。
【補助療法】同じ。
【標治法】左沢田流小腸兪に神氣精打鍼。
【止め鍼】(背部)肺兪→心兪→肝兪→脾兪→腎兪と(腹部)中脘→天枢→関元。
【経過】家事・育児ができるようになる(^^)v

【考察】
①蓄膿は抗生剤が良く効くが、鍼灸と併用した方が経過が楽で治りいい。
②鼻の骨は上は目と下は歯と隣接しているため、膿が溜まる場所によっては目の下や歯が痛くなる。なので虫歯から蓄膿になることもある。
局所解剖については恩師戸村多郎先生の著書やSNSがすごく分かりやすいです。
③伝統医学においては鼻は肺の外候とされているが、実際は手足の陽明経が中を流注する。
胃経・大腸経に虚実の別はあれ熱が波及すると鼻疾患が現れる。
この熱が深く進むと心経の熱に移行する。
心熱になると臭覚に影響します。なぜなら心は五役では臭を主るからです。
また脾熱になると味覚に影響が出ます。同じように脾は五役では味を主るからです。
さらに蓄膿になると鼻汁が濁って粘って色がつきますが、これは肝の変動です。
肝は五役では色を主るからです。
例えば鼻汁が白いとしましょう。
白は肺の色ですから今肝の風邪が肺に入っているということが推察できるわけです。
黄色であれば肝の風邪が脾に入っています。←黄疸などはこれです。
五役大事です。(肝は色・心は臭・脾は味・肺は声・腎は液)
④蓄膿症は一言で言うと風湿病です。

【反省】翌日の治療で心の邪実を認めたので郄門から瀉しましたが、大陵や労宮でもよかったかもしれません。体幹に近いほど下焦(腰下肢)に影響し、末梢に近いほど上焦(頭顔面部)に影響するからです。←上下取穴の理屈ですね。
効果判定は、
①左寸口脉が柔らかくなっていること。
②心窩部の堅さが柔らかくなっていること。
③主訴・愁訴が軽減していること。
また心経と心包経の使い分けですが、これは君火と相火の違いです。
相火は陽気です。熱源です。
君火には温める作用はありません。明かりを灯します。
心は血脈と神志を主りますが、血脈は心拍動ですので相火が関係します。
動悸や心痛や不整脈などは心の陽気の盛衰ですから心包経を補瀉する機会が多くなります。
神志は精神活動ですが、その範疇に意識が含まれます。
私たちの生活で身近に意識に関係するのは睡眠です。
意識が落ちるから眠れます。
なので不眠や立ちくらみや癲癇などの意識障害は、君火が暗いから起こる病症ですからこのような意識障害の時は、心経を補瀉して君火を正常に灯します。
いわば蛍光灯のスイッチです。
通里や霊道に反応がでることが多いです。

【終わりに】
家族や身内や自分の周りの大切な人たちを病苦から救えること。
これが鍼灸師に成って最も良かったなと思える点です。

この喜びを一人でも多くの鍼灸師・鍼灸学生に味わってもらいたくて普及啓発やってます。
僕の指導者としてのモチベーションはこれに尽きます。


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by dentouijutu | 2017-04-09 19:19 | 鍼灸師・鍼灸学生のためのお部屋

生活も心も豊かな鍼灸師を目指して。