2017年 01月 14日
4年生とはりのお勉強2016~⑭
応用鍼灸治療学実習Ⅱ(鍼灸A)の14回目は、「認知症・介護予防専門鍼灸師養成講座」を実習しました。
超高齢化社会において、私たち鍼灸師は、
・認知症を予防することができます。
・転倒を防ぐことができます。
順を追ってみていきましょう。
1)鍼灸師は認知症を予防することができます。
【現代医学からみた認知症】
認知症の分類ですが、
・アルツハイマー型認知症
・脳血管型認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
とあります。
これを見る限りでは、脳の働きの低下が関係しているようです。
ただし、認知症の原因は未だ解明されていないのが現状です。
【東洋医学からみた認知症】
実は東洋医学の世界では、すでに原因が解き明かされています。
それは、「清空」の異常です。
【清空とは?】
【清】とは混じり気のない澄み切った状態を指します。
【空】は天空であり最上を指します。
人体において一番高いところにあるのは頭です。
そして頭の中に脳があります。
雲ひとつない澄み切った空のように、頭脳がスッキリとしている状態を清空といい、こういう状態であれば思考・判断・記憶などの思惟活動が順調に行われます。
認知症を患う方はこの清空が順調ではありません。
清空の清は、元は飲食物からなります。
胃に取り入れられた飲食物を消化します。
その中から必要な物を吸収し、細胞・組織・器官・臓腑経絡を養い活動力を与えます。
この体にとって必要な物を【清】とします。
一方、消化された後、必要でないものは大小便として体外に排泄されます。
これを【濁】とします。
このように清濁を分別する働きを脾臓とします。
清は混じり気のない澄み切ったものですから、軽く上に浮きます。
これを【清陽】とします。
濁は重く下に沈みます。
これを【濁陰】とします。
清陽は上に昇り頭脳を養い活動力を与えます。
濁陰は下に降って大小便となって体外に排泄されます。
・清陽が何らかの原因によって頭脳に昇れないと、清空を形成することができません→清陽不足。
・濁陰が何らかの原因によって清陽に混じって頭脳に昇ると、雲ひとつない澄み切った空でいれなくなり、清空が汚れます→濁陰犯清空。
結果、清空が清空でなくなり、思考・判断・記憶などの思惟活動が順調でなくなります。
↓
脳の変性をきたします。
↓
認知症を発症します。
後谿-申脈+照海-列缺を使います。
2)鍼灸師は転倒を防ぐことができます
膝の痛みや腰の痛みがあると、足が挙がらずつまづき、転倒するリスクが高くなります。
また足腰に不安があると、出かけるのもおっくうになり、余計に足腰を弱らせてしまい、家の中でも段差につまづき転倒しやすくなります。
痛みが和らぐと動きやすくなりつまづきにくくなります。
また、活動する機会も増えるので、足腰の筋力低下を防ぎます。
その結果、転倒→大腿骨折→寝たきり→認知症という負のサイクルを防ぐことにもつながってくるのです。
【治療】
腰から足先まで、膝蓋骨を境に外側が引きつり痛む場合は、環跳穴を使います。
腰から足先まで、膝蓋骨を境に内側が引きつり痛む場合は、上前腸骨棘の下内方にある五枢穴か維道穴を使います。
このような治療を施すと、腰下肢の痛みが和らぎ、スムーズに足が運び、転倒しにくくなります。
3)最後に
今回の実習では、後谿-申脈・照海-列缺にお灸をして瞬時に記憶力がUPすることを、そして環跳と五枢・維道に鍼をすると腰下肢の引きつりや痛みが和らぐことを、みんなと一緒に検証確認しました。
この治療を使って、将来みんなを頼って来てくれた患者さんを救ってあげて下さい。
先ずは、おじいちゃんおばあちゃんが生涯現役で趣味や仕事ができるように、お父さんお母さんには予防を目的に治療をしてあげて下さい。
by dentouijutu
| 2017-01-14 14:48
| 森ノ宮医療大学