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妊婦さんと助産師の先生と鍼灸師が起こした奇跡の物語

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10/31(月)、予定日になっても陣痛が来ない41週目の妊婦さんが助産師の先生と一緒に来院されました。
3日木曜には入院が決まっている。
この時子宮口1㎝未満。
初産で3日連続促進剤を使って余りにもしんどすぎたため、今回は何としても促進剤を使わずに産みたい!
左の腎虚証と診立てて鍼治療をし、中宮院で行っている安産灸、肩井(けんせい)・合谷(ごうこく)・蠡溝(れいこう)・三陰交(さんいんこう)・中封(ちゅうほう)・至陰(しいん)に知熱灸(ちねつきゅう)。

※【安産灸】
妊娠中におこる様々なマイナートラブルを予防しまた和らげるお灸治療です。
早流産の予防、つわりの軽減、妊娠中毒症の予防と治療、逆子の予防と治療、難産の予防が期待できます。
中宮院では、肩井と合谷というツボに予定日の20日前から施灸することで、予定日に産まれるようにしています。
また、妊娠中安産灸をすえつづけて生まれたお子さんはみんな肌艶がとてもキレイで喜ばれています。


11/1(火)、みなさんからいただいた元気玉を押し手と刺し手とハートに宿し、同様の治療。

11/2(水)、病院に検診に行くと、子宮口が3~4㎝に開いていた。
入院を満42週目となる7日月曜まで待ってくれることに。
治療は同じ。


11/3(木)、同様の治療。

11/4(金)、おりものが多くなる。左腎虚で鍼、蠡溝は止める作用があるためこの穴を除いて知熱灸。

11/5(土)、おりものに血が混じる。左腎で引き下げてダメなら押し下げようと右の肺虚証で鍼治療をし、肩井・合谷・三陰交・中封・右至陰尖(しいんせん)に知熱灸、陣痛促進穴に円皮鍼を貼付。


11/6(日)、前日と同様の治療。最後の治療に全てを託す。
その晩の22:47分に陣痛が始まったと連絡あり(ヨッシャー!!!)。
これから助産院に向かうとのことなので、僕も仕事先から直行。
23時過ぎに全員で分娩室へ。
まだ5分間隔なので、もう一度鍼治療をしようとしたが、不思議なことに脉診(みゃくしん)するとどこも悪くない。
これは気は調っているから必ずいけると確信。
「鍼はしなくても大丈夫です」と伝えると、「えー何でそんなことが分かるんですかー!?」と先生の反応がダイレクトで素晴らしい(^_-)-☆素敵なお人柄が本当にじみ出ておられます。
鍼治療はせずに肩井・合谷・三陰交・右至陰尖に知熱灸。
その最中に、市外から助っ人で駆けつけて下さったベテランの助産師の先生が入室。
施灸を見るなり、「それ、逆子のお灸やんなー?」とよくご存じで。
施灸後、陣痛がやまることがないように(今夜で絶対に決める!)、ご主人に合谷を指圧してもらい、僕は肩井を担当。
3分間隔になり2分間隔になる。

陣痛時は指圧を一旦止め、神厥(しんけつ)・胎元(たいげん)・命門(めいもん)あるいは命門・胎元・神厥というツボに手をあて気を送って和痛をはかる。

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合間に助産院の院長先生と、助っ人のベテラン助産師の先生と談笑、ご主人のお母さんも愉快な方でムードメーカー役を一手に引き受けておられました。
何だろう、このアットホームな空間は。
もう間違いなくみなさん、助産院で産んでほしいです。

鍼灸に東洋医学に興味津々でいっぱい質問をしてくださいました。
僕も陣痛のことや分娩のことや心音を計る目的等々、それ以外にもたくさんのことを教えていただきました。
助産師のお二人とも、妊婦さんに寄り添って呼吸を指導したり、背中や腰をさすってあげたり、とにかくメチャメチャ優しい。もう半端なく慈愛に溢れていらっしゃる。
医療従事者のあるべき姿を学ばせていただきました。
この交流のご縁を繋いでくださったのはまぎれもなく、目の前で頑張っている患者さんです。
感謝しかありません。

そして3時過ぎにいきみたくなってきたので男性陣は分娩室を退出。
待合室でひたすら祈る。

そして・・・。

ついにその時が訪れたのは午前4時過ぎ、この世で最も尊い命の泣き声が。
3250グラムの女の子を無事に出産。
本日7日月曜8:30分に待ち構えていた強制入院までに何とか間に合う。
患者さんの促進剤を使わずに赤ちゃんを生みたいというたっての希望が叶いました。

ミッションを完了したので、ご主人と院長先生にお礼を言って、助産院を後にし帰宅。
妻と喜びを分かち合い、午前6時に仮眠。
束の間の休息を取って治療室へ。
一生懸命にお灸をしてくれたお弟子さんやスタッフに報告。
彼らもまた、MAKE MIRACLE 中宮院の立役者です。

最後に、奇跡のおこしかたが分かりました。


『絶対に信じて諦めないこと』
奇跡が起こる度にそう思わずにはいられません。


『一人の力では到底なし得ないこと』
今回もみなさんの支えがあったからこそです。

患者さんの治したい治りたい気持ち、治療家の治してあげたい気持ち、ご家族の無償の愛。
願いと祈りが魂を呼び起こし、一本の鍼とひとつまみの艾に宿りし時に、初めて奇跡が起こります。
左手と右手とハートをリンクさせる。
この意味が少しだけ分かった気がします。

全ての方々にSPECIAL THANKS。

臨床ファンタジスタ 中野正得


by dentouijutu | 2016-11-08 08:06 | レディース鍼灸

生活も心も豊かな鍼灸師を目指して。

by 臨床ファンタジスタ