2016年 01月 04日
寝違いの治療
主訴、寝違い。
現病歴、昨日から頚が痛いと言っていたが、ほったらかしにしていたら、今朝は起きるのが困難なくらい痛い。側屈と回旋で右の大椎の際~肩外・肩中兪~肩甲骨内縁に痛みが走る。
やはり年末からおよびおせち料理大作戦の疲労が出たのだろう。
聖典『難経』では飲食労倦(不摂生や労働によって病むこと)は脾の正邪になっている。
腹診、脉診も脾虚でよさそうだ。
手足を適度に使うと消化がよくなるが、度が過ぎると労倦となる。
手足の肌肉(現代解剖学的には筋肉)は陽明経が主になっている。
陽明経を統括管理しているのは脾であるという生理関係から、手足を酷使すると脾を痛める。
それで労倦は脾を病ます病因としているのが古典医学の面白いところ。
特に肉体労働では気血でいうと血を不足させる。
血は陰陽では陰に分類される。
陰血という潤す物質が不足すると乾燥して熱を持つ。陽気が有余する。これを虚から発生したので虚熱という。
また陰には引き締める作用があるから、陰気が虚すと引き締められずに上昇拡散してしまう。
この虚熱が臓腑経絡内外へと波及し停滞したところでコリや痛みが出現する。
労倦によって脾の陰血が虚して発生した虚熱が主訴部の小腸経・三焦経・胆経等に波及して寝違いを引き起こしたのが今回の病因病理だからこれを解決してあげないといけない。
痛めている患部の治療だけでなく、しっかりと根本から治す
ということで先ずは根っこの治療。
脾臓を回復させるために、右の脾経を補う。
手足のツボは末梢ほど頭顔面部に影響するから、主訴部の位置関係から太白とか商丘等のツボがいい。
次に枝葉である患部の治療。
首にある天容と天ユウというツボに刺鍼。
このような治療で少し動くようになった。
さらに補助療法として外関―臨泣にお灸をして、金銀粒を貼付した。
余談だが、外関―臨泣というツボの組み合わせは、指の手荒れによく効く。瞬時にツルッとするから、術者も患者もビックリする。
三焦経は五臓六腑の外膜たる所以であり、ここを巧く調節してあげると外気温の変化、特に冷えから身を守ってくれる。
朝治療して昼前にはすっかりよくなりました。
よかったよかった。
by dentouijutu
| 2016-01-04 20:54
| ワイの話