人気ブログランキング | 話題のタグを見る

表を以て裏を知る(第43回)~硬

よく舌頭が硬くこわばり、言語がつかえてはっきりしないのが見られるが、外感病、雑病いずれでもこういう舌象を生じる。

外感病に属するものでは、大抵熱が心包に入り(心包とは心の外膜で、経脈と連絡し気血の通り路でもある。外邪が心を襲うとまず心包が影響を受けるが、心包も心と同じく中枢神経活動と関係をもつとされ、急性伝染病等で高熱を発し、神昏譫語(しんこんせんご)する状態を熱心包に入るという。)神明を擾乱(じょうらん)し、神志は混迷して舌の調節がきかず、敏活さを失ったものか、或いは高熱により津が傷み、燥火が熾盛(しせい)で舌の筋脈が失養し、そのため硬く柔和さを失ったものかである。
この二種の舌色はいずれも深紅である。

雑病に属すものは、殆んどは内風(風病は大きく二つに分けられる。一つは六淫の邪の風邪を病因として起こるもので、他の外邪と結合して発病しやすい。例えば風寒(傷寒)、風湿(リウマチ)、風熱(温病・暑病)等である。もう一つは風の病症をもった疾患を意味し、眩暈(めまい)、震顫(ふるえ・痙攣)、麻木(知覚マヒ・しびれ)等の内風或いは風気内動といわれる中枢神経系の症状を現すものである。肝風、中風、破傷風等。)によるもので、普通は半身不随、口眼か斜(顔面神経麻痺)等の証状と同時に現れ、時には突然昏倒したあとに現れる。
またまだ昏倒しない前に見られることもあるが、中風(卒中ともいい、急激な風証の意味である。古典では類中風と真中風に分け、類中風を軽いものから順に中絡(絡に中る)、中経(経に中る)、中腑(腑に中る)、中臓(臓に中る)と分け、真中風は初期に発熱悪寒を伴うものとしたが、いずれも脳血管障害である。)の予兆であることが多い。
さらに痰が舌絡を阻み、舌が厚くて硬くなるものでは、必ず灰濁の苔を兼ねている。
by dentouijutu | 2015-03-12 10:50 | 表を以て裏を知る

生活も心も豊かな鍼灸師を目指して。

by 臨床ファンタジスタ