人気ブログランキング | 話題のタグを見る

表を以て裏を知る(第11回)~神と精

「精」とは後天の水穀の化生で、先天の腎精と相結合したものの総称であり、五臓の精気を蔵める。

「神」は精から作り出されるものである。

精と神の両者は、“精はよく神を生じ、神はよく精を卸す”という関係にあるのである。
五臓に蔵められている精気が神(生命力)を作り、顔面を中心として体表に現れる神の有無は精の状態をよく映し出すということである。

精と神は先天と後天の精気を反映し、それ故精神が健旺であるのは人体の生理活動が正常である現れである。
精が衰えれば必ず体も弱り、体が弱れば神も疲れる。

痛みや発熱等、何か体に不調のある人は目力が落ちている。
まさに体が弱れば神も疲れるであり、それは五臓の精気が衰えている証拠である。

少し違う角度から神と精を論ずると、
古医書に「腎は心を主る」とか「精は神を主る」とあり、
名著『鍼灸真髄』には、五臓の精の内、腎は精を蔵し心は神を蔵し、これを合わせて精神という。とある。
精が神を養っているのである。
腎が心を主っているのである。
水をもって火が燃え盛らないように制御しているのである。
故に、腎が弱れば心が旺気し、
水が不足すれば火が必要以上に燃え盛って制御できなくなって暴走する。
これを心腎不交という。
これがパニック障害や心臓神経症や大人も子供もキレやすいという病の基本病理である。
『鍼灸真髄』をお灸の本とあなどるな。
相当に優れた診断学と治療の聖典である。
精神の安定は腎と心をいかに気持ちよく交流させるかである。
上下の交流ともいえる。
精神が安定しないと自律神経が乱れてくるが、自律神経は背骨の中を走っている。
督脈である。
督脈は上では脳と通じている。
その間に心(こころ)がある。
これらを養うのが骨髄と脊髄と脳脊髄液である。
各髄液は、精から生まれ、精は腎の精気である。
精神疾患は腎が中心となる。
でもうつ病は全く別の話。
by dentouijutu | 2014-10-18 14:29 | 表を以て裏を知る

生活も心も豊かな鍼灸師を目指して。

by 臨床ファンタジスタ