表を以て裏を知る(第6回)~四診の合参

内外の診察と弁証求因の原則に基づいて、診断を進めるに当たっては、患者に対する綿密な観察とすべてにわたる理解とが要求される。
この要求を満たすためには必ず四診の合参を行わなければならない。

四診とは、望・聞・問・切をいう。
診断において病の原因を知るためには、この四者はどれ一つ欠けてもならない。

「一診をもって四診に替えることはできない。」

患者の発病の経過・苦痛の所在・過去にどんな病気にかかったか?どういう治療を受けたか?等の資料を得るには、必ず問診を行わなければならない。

また患者の音声・気味(臭い)にどんな変化があるかは聞診を行わなければならない。

患者の神色形態にどんな変化があるかは望診を行わなければならない。

患者の脈証や肢体の異常は切診を行わなければならない。

もし四診がそろわなければ、患者のすべてにわたった詳細な資料は得られず、弁証に正確さが欠け、甚だしい時は誤診を生じ誤治につながる。

例えば、患者が発熱頭痛を訴えたとき、ただこの2つの病症だけから弁証してはならない。
病気の発病時期と、発熱の状況を問い、熱が手掌・手背のどちらが強いかを触れてみて、さらに舌象はどうか?脈象はどうか?体質はどうか?音声形態はどうか?等によって診断を確定する。

もし問診により初期には悪寒を感じたが、その後すぐに発熱無汗、食欲不振、大小便が正常となったことを聴き、望診によって神色正常、舌質正常、舌苔薄白であることを見、聞診によって音声の重濁と鼻塞とを知り、切診では脈が浮緊であったなら、以上の四診の結果と、これに基づく八綱分析により、これは外感風寒の表証に該当するなと見当がつく。

またもし患者の病がすでに永く、毎日午後に発熱し手掌の方が手背よりも熱く、時々頭痛があり、神疲倦怠、両顴(頬骨の部位)発赤、唇紅、舌質深紅で無苔、脈細数であれば、これらの証の分析によりこれは内傷陰虚証に該当すると見当がつく。

これでわかるように、証候は弁証の基礎であり、細かい証候資料を集めるには四診を合参しなければならない。

よく経絡治療家は、脈診に固執するところがあるが、脈だけでは本当のものは掴めない。
100を四診で割ると、望・聞・問・切それぞれ25%で、脈診はその25%の切診の中の一つにすぎない。
池田多喜男先生は、脈診は臨床上重要な患者情報ではあるが、全体の1/8しか診れないと仰っているが、まさににその通りで1/8の情報に証決定の重きを置くのは非常に危険なことである。
これは脈のみならず、腹にも舌にもいえる。
かといっておろそかにしてもいいというわけではない。
すべての所見が大切ではあるが、そこに優劣はないということであり、上にも書いたが、一診をもって四診に替えることはできない。


四診によって得られた全ての情報を、細かく分析して、総合的に判断するのが、本当の診断即治療である。

参考文献
『広東中医学院 主編 中医診断学 中医臨床参考叢書』(松本克彦訳)

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by dentouijutu | 2014-10-13 14:11 | 表を以て裏を知る

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