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病機十九条「肺」

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「諸気月賁(ふん)鬱は皆肺に属す」
【月賁(ふん)】とは充満し喘急上逆すること、【鬱】とは塞がり詰まることを指します。気が充満したり上逆したり、あるいは塞がって通じなくなる病因病理によって起こる病は、すべて肺に関係しますよーと岐白先生は仰っています。

【気の昇降出入運動】
頭を使うときには上部に気が集まります。
足を使うときには下部に気が集まります。
何かをしようとするときには必ず気を必要とします。
健康な人は気が上下を自在に行き来しています。

口鼻から天空の気を取り入れ上・中・下焦に巡らせる働きを【肺蔵】とします。
臍下丹田から起こった気を発散させて下・中・上焦へと巡らせる働きを【肝臓】とします。
肺気は下向き↓のベクトルです。
肝気は上向き↑のベクトルです。

この肺肝二臓によって気の昇降出入運動が行われています。
どこまでいっても陰陽で考えるのが東洋医学です。
故に行き詰まることがありません。無限の可能性を秘めた哲学です。
だからこそ現代医学の不可能を可能とします。
それはさておき、肝気の昇が強すぎると肺気が降りにくくなります。
肺気は降りるのを順とします。
肺気によって気道が清潔に保たれおしっこが順調に出ます。
肺気が降りれなくなると気が逆行します→肺気逆。
だから咳がでたり呼吸困難になったりするのです。
肺気が降りれなくなるのは下からの肝気の突き上げが強すぎるからです。
そうすると上焦に気が充満し、喘いだり咳きます。

【うつ病とパニック障害】
気には【陽気】と【陰気】があります。
陽気とは、温める・乾かす・発散させる・喧騒・ヒートアップの働きです。
陰気とは、冷やす・潤す・引き締める・静寂・クールダウンの働きです。

陽気が旺盛な人はそれこそ陽気で何をやっても楽しい人です。
陽気が不足すると、元気がなくなり、やる気が起こらず、前向きになれません。
どんどん陰気な方向へと傾くのでネガティブになります。
やがて部屋から出られなくなります。
これがうつ病です。
陽気<陰気の状態です。

陰気が不足すると、気を引き締められないので上に突き上がってきます。
胸に突き上がると不安・動悸・胸痛などが起こります。
もっと上に突き上がるとのぼせや発汗過多や取り越し苦労が多くなります。
パニック障害や心臓が悪くないのに症状が出る心臓神経症が起こります。
陽気>陰気の状態です。

躁鬱病というのは、
躁のときが陽気>陰気、鬱のときが陰気>陽気となり、これが交互に起こります。
双極性障害です。

【治療】
「月賁」
肺気が降りれないのは肝気の突き上げがその原因ですから、虚実を弁え補瀉調整し昇降運動を順に戻るように治療します。

「鬱」
五臓で最も陽気が多いのは心臓です。
うつ病は心包経を補って陽気が増えるように治療します。

五臓で最も陰気が多いのは腎臓です。
パニック障害や心臓神経症は腎を補って気を引き締めるように治療します。

双極性障害は、うつのときは陽気を増すように、躁のときは引き締めるように治療するといいでしょう。

また自律神経は脊椎の中を通っています。
背骨は督脈です。
精神的な症状がある患者さんは督脈上に反応が出ます。
特に、素問の刺熱論篇にあるように、至陽は腎、霊台は脾、神道は肝、巨厥兪は心、身柱は肺の反応が現れます。
この理論を診察診断および治療に応用することができます。



by dentouijutu | 2017-01-03 13:28 | 鍼灸師・鍼灸学生のためのお部屋

生活も心も豊かな鍼灸師を目指して。

by 臨床ファンタジスタ